「あらゆる時間」について


自然光で制作をしていると、いつの間にか日が暮れても作業をしていて、

気がついて照明を着けると今までとても暗かった事に気がつきます。

それまでは、時間とともに様々に変化に飛んだ色を目が享受していたはずなのですが、

明るさによって一気にある画一化された色彩に引き戻されます。

作品を取り巻く環境は、作品を観せる為になるべく一定の状況を造り出そうとしています。

ホワイトキューブはもとより、照明や導線など、さまざまな要素を

作品が見えやすいようなレンジに合わせていると言えます。

でも、絵画には観えにくい時間も観えない瞬間も実際には多くあります。

クロード・モネの連作「ルーアン大聖堂」は対象物であるルーアン大聖堂に訪れる

あらゆる時間を絵画として画面に写した表現と言えます。

ただ、「絵画」という物質自体にもあらゆる時間が訪れています。

個展の為に何気なく制作を始めた今回の連作が、絵画の「あらゆる時間」を

煮こごりのように切り取ったようだなと感じこのタイトルにしました。

 

                          内海 聖史             

                

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